3D尺八

DS1000で尺八 : 2015年02月08日


東京の町工場製の3Dプリンター・DS1000でチューブを作りました。プリントできる大きさに制限がありますので一尺八寸を6個に分けて印刷しています。


6個のチューブを瞬間接着剤でくっつけてインナーチューブの出来上がりです。


このチューブを竹の中に入れて、間隙はレジンキャスト剤で充填して、手孔、歌口を作って完成です。

UPBOXで尺八 : 2015年5月17日


上記のDS1000よりちょっと大き目の3Dプリンターで、チューブ(内腔)だけでなく尺八すべてを印刷しました。 内面をサンドペーパーで磨いて、塗装すれば完成です。
横山Ohzan師匠から頂いた尺八内径データを印刷したものです。 Ohzan師匠は故人となられましたが、Ohzan師匠のブログがそのまま残っておりましたので、リンクさせていただいています。

邦楽ジャーナルという月刊誌で、菅原久仁義氏にこの尺八を紹介して頂きました(紹介記事・2016年5月号)
邦楽ジャーナルのホームページはここです。


左から菅原久仁義氏、内藤亮氏、田能村聡氏、見澤太基氏、両角昌幸氏、大賀悠司氏、渕上広志氏です。私の作った3D尺八での合奏です。17弦は丸田美紀様です。

立花茂生氏にもこの3D尺八を吹いて頂きました。 第5回全国邦楽合奏フェスティバル(2018年8月)では、立花茂生氏にこの3D尺八を紹介していただきました。

8寸、6寸、23寸の3D尺八ひな形データ(123D Design)


八寸ひな形データ ダウンロード
六寸ひな形データ ダウンロード
A管ひな形データ ダウンロード
左図は8寸の設計図で、中継ぎが2箇所の三分割尺八です。6寸も同様に三分割データです。右図は23寸の4分割の尺八ひな形データです。
AUTODESK の 123D Design というフリーソフトで作っています。
このひな形データに、内径と手孔を設定するだけで、3D尺八データが出来上がります。尺八内径データさえあれば、簡単に3D尺八が出来ると思います。
その手順と印刷された尺八の仕上げ方を説明しています。

ひな形データから3D尺八データへ

肝心要なものは尺八内径データです。お持ちでなければ、ネット上から探してください。その尺八内径データから内径チューブを作ります。ついで、ひな形データからその内径チューブを引き抜き、手孔を調整すれば、3D尺八の完成です。
以下、その手順の概要です。

1)尺八内径データ通りの円盤を重ねます。


まず内径チューブを作るための円盤の集合を作ります。
円を描きます。その円をクリックしてCTRL+Cでコピーし、CTRL+Vでペーストすると、どこへ移動するか聞いてきますので、任意の高さへ移動します。その円をクリックするとメニューがでますので、edit dimention で円の直径を変更します。
この操作を繰り返して、内径データの円を重ねていきます。

2)その円をLoftして円柱を作ります。


完成した円のすべてを順に選択して(CTRL+左クリック)、ConstructのLoftで内径のチューブを作り、それを保存します。
八寸円盤集合とチューブのサンプルデータ
上記データをそのまま使っても、恐らくいい音は出ません。

3)ひな形尺八から円柱をsubtractします。


雛形データを開いて、メニューの import 3D model から尺八内径チューブをインサートします。
チューブを左クリックで選択し、CTRL+Cでコピーし、CTRL+Vでチューブを複製ペーストできます。それらを3分割尺八の内側にmoveします。
combineのsubtractで尺八からチューブ部分を引算します。

4)5孔尺八の場合は2つの補助孔の小円柱などを削除します。

7孔尺八を作る場合は、この手順は飛ばしてください。

5孔尺八にする場合は、補助孔部分をクリックして選択し、Deleteキーで削除します。
下のようになります。

5)孔位置を調整し、尺八からsubtractします。


手孔の円柱を選択し、円柱をmoveして孔の位置を調節します。Combineのsubtractで、手孔が開きます。
modifyで円柱の太さ(手孔のサイズ)も調整できます。

6)手孔の内側をmodifyで角を取ります。


modifyのfilletで、手孔の内側縁をクリックして、fillet radius を3mmなどに設定します。

手孔の内側縁が下のように滑らかになります。fillet radius の値を変えるだけでも音が変わりそうです。

7)Export as 3D STL でSTLファイルを出力します。


以上の手順で、ひな形データが内径データ通りの3D尺八データとなります。
これをSTLファイルとして出力し、3Dプリンターで印刷すると、尺八が出現します。

内面の磨きと、塗装

印刷したそのままでは内面が荒いため、良い音が出ません。
サンドペーパーで磨いて、水性工芸漆を塗っています。
磨き方、塗りの厚さ次第ですが、磨きと塗りを3回ほど繰り返すとピカピカになります。
ビニールテープを巻きつけたステンレス棒に、3Mのり付きサンドペーパーを張り付けています。
塗装には、木棒にモヘアテープを張り付けた刷毛を使っています。



おまけ、3D尺八サンプルデータ

公開されている内径曲線データを使って作成した、6寸、8寸と23寸のサンプルデータです。
内径曲線のどの位置の値を利用するか、何個利用するかで、ちょっと異なる3Dデータになります。
*.123dx, *.sat, *.wrl, *.x3d, *.stl の3Dデータです。
23寸3D尺八サンプルデータ
6寸5孔3D尺八サンプルデータ
6寸7孔3D尺八サンプルデータ
8寸5孔3D尺八サンプルデータ
8寸7孔3D尺八サンプルデータ