指孔を全部ふさいだ時は、歌口から管尻までの距離(つまり尺八の長さ)が、その時出る音の波長と比例します。開いた指孔があるときは、そのなかで一番歌口に近い指孔から歌口までの距離(+手孔の深さ+α)が、波長と比例しています。音が高すぎる時は、指孔の位置を下げると(歌口から遠くすると)音が低くなります。
たとへば歌口から33cmの位置の孔の場合、440Hzあたりの音が出るとします。この位置を34cmに変更したとします。指孔の深さ+αを無視するとして、波長は34/33倍となり、周波数は逆に33/34倍となります。
flute(A) = 440Hz ですから
flute(B) = 440Hz*(33/34) = 約427 となり、およそ13Hz低下することになります。
指孔の大きさも音の高さに影響します。同じ位置でも、指孔径が大きいと高くなり、小さいと低くなります。指孔にセロテープを張って5mmほどの穴を開けて実験してみたところ、そのままのflute(A)で440Hz、セロテープを張ったflute(B')では335Hz程でした。
周波数を少しだけ高くするのなら、下図のように指孔の歌口側を削り、指孔を大きくします。設計図どおりに作った塩ビ尺八なら、この方法で十分調律できると思います。
塩ビ尺八の場合、指孔の深さはどこも一定で、わずかですので無視できますが、竹の尺八の調律では指孔の深さが無視できません。
尺八の調律には、音の高さ(周波数)を知る必要がありますが、メモリー機能付きの尺八調律チューナーで周波数が簡単に測れます。
チューナを起動して、尺八をロツレチリヒなどと吹きますと、五線譜とセントのずれなどを記録します。
リターンキーでチューナを一時停止させると、左右カーソルキーで過去にさかのぼって500秒間のデータを確認できます。
上図は自作一尺六寸の尺八を、目を閉じて、ロツレチリロと吹いた時のものです。我ながら、なかなかの調律かもしれません。
(付記)一尺八寸で20セント周波数を動かすには、手孔(管長)を下記の程度変更するとよさそうです。
ロ | ツ | レ | チ | リ | ヒ |
6.3mm | 5.1mm | 4.2mm | 3.7mm | 3.0mm | 2.5mm? |